こんにちわ!カレオです。
先日、数奇ゲームズさんから「モバイルマーケット」日本語版が発売されました。
「モバイルマーケット」は「スマートフォン株式会社」の系譜のゲームなわけですが、実は私、「スマートフォン株式会社」はオールタイムベストに入れるくらいに大好きなゲームなんです。
そんな私が「モバイルマーケット」に興味を示さないはずがなく、当然入手して何度か遊んでみましたので、その感想をふまえて今回は両作の違いをレビューでお届けしたいと思います。
それではいってみましょう!
セットアップ
まず最初の比較項目は「セットアップ」です。
これについては「スマートフォン株式会社」の方が簡単でした。それも圧倒的に。
各プレイヤーの進捗マーカー、オフィスマーカー、商品マーカーを入れるオーガナイザーが、そのままゲームプレイに役立つよう設計されています。
そのためセットアップとしては、箱からオーガナイザーを取り出すだけOK。
めちゃくちゃ簡単なんです。
あとは改善タイルだけ裏向きシャッフルしますが、これもそんなに数は多くないので全然苦じゃないですね。
対して「モバイルマーケット」はカードメインのゲームなので仕方ないのですが、とにかくカードシャッフルが多いです。
カード裏面ごとの山に分けて、それぞれでシャッフルしなくてはいけません。
すべて挙げると、
- ガジェット好き顧客カード
- 一般顧客カード
- コアユーザーカード
- イベントカード
- 技術カード
- 初期技術カード
- 機能カード
- 初期機能カード
- 販売施策カード
これだけあります。
まあみんなで分担してやればいいのですが、「スマートフォン株式会社」と比較するならセットアップは面倒と言わざるを得ないでしょうね。
セットアップは「スマートフォン株式」の方が簡単!
見た目の楽しさ
次は、ボードゲームの魅力のひとつである「見た目・見栄え」としての楽しさについて比較します。
ハッキリ言って、これについても「スマートフォン株式会社」の方が上でしょうね。
いや、単純に各種のアクリルマーカーが、「モバイルマーケット」のカードより見た目が良いという話ではないんです。
ここで比較したいのは、足し算のゲーム性と、引き算のゲーム性です。
どういうことかと言いますと、例えば「スマートフォン株式会社」の盤面を見てみましょう。
こちらがラウンド開始時の盤面です。
各エリアの顧客には、まだスマホが販売されておらず、何もマーカーが置かれていない状態です。
ここに各プレイヤーがスマホを販売して商品マーカーを置いていくことで、盤面を埋めていきます。
ラウンド終了時の盤面はこちら。
商品マーカーがいくつも置かれて、ラウンド開始時よりも賑やかになっています。
これが足し算的商品販売です。
「モバイルマーケット」はと言うと、ラウンド開始時に一定量の顧客が盤面に追加され、以下のような状態になります。
ここから、各プレイヤーが販売した顧客を手元に獲得していくわけですが、ラウンド終了時は以下のような盤面になります。
顧客が取りつくされて、スカスカの状態ですね。
これが引き算的商品販売です。
みなさんは箱庭系のボードゲームで、個人ボードに沢山の木ゴマを配置して開発していく時にワクワクを感じたりしないでしょうか。
あるいは、ゲームが終わった後、記録として写真を撮ったりしないでしょうか。
ゲームが終わった後の「見た目」的な満足度は「スマートフォン株式会社」の方が勝っていると私は感じました。
「スマートフォン株式会社」の見た目は足し算。
「モバイルマーケット」の見た目は引き算。
プレイ人数
「スマートフォン株式会社」と「モバイルマーケット」では、プレイ人数の対応範囲も異なります。
「スマートフォン株式会社」が1~5人。
「モバイルマーケット」が1~4人です。
これだけだと5人で遊べるかどうかしか違いが無いように見えますが、ゲームの実態としては「モバイルマーケット」の方がプレイ人数の幅が広く、取り回しやすいように思います。
プレイ人数の幅と言うのなら「スマートフォン株式会社」の方が広いんじゃないの?と普通なら思いますよね?
実はそれがそうでもないんです。
ここはBGGのベスト人数を確認してみましょう。
こちらが「モバイルマーケット」のベスト人数。
ちょっと投票数が少なくて統計としての正確性には疑問が残りますが、ベストも推奨も割とバラけていますね。
「モバイルマーケット」のプレイ人数での調整は、ラウンド開始時の顧客の追加数が変わる形で実現しています。
これが4人プレイ時の顧客の追加数です。
ガジェット好き、一般顧客、コアユーザーがそれぞれ5枚ずつ追加されることを表しています。
2人プレイ時の顧客追加数はこちら。
2人プレイではガジェット好き、一般顧客、コアユーザーがそれぞれ2枚ずつ追加されます。
このように市場にいる顧客の数を調整することで、販売競争の質を維持しています。
一方で「スマートフォン株式会社」のベスト人数を見ると以下のようになっています。
圧倒的5人ベスト。
2人以下の非推奨も圧倒的で、少人数のプレイには向かないゲームだということが分かります。
これは、「スマートフォン株式会社」のプレイ人数の調整方法に起因していると思われます。
こちらが「スマートフォン株式会社」2人プレイ時の盤面です。
ボード上のエリアの大きさは変わらないのですが、特定の販売地域に「小売業者タイル」を置いてフタをする、という形で疑似的にエリアを縮小させる方法が採られています。
この方法でも一定の役割は果たせているとは思いますが、やはりボードの広さと比較するとスカスカ感は否めませんし、初期配置によっては、周りに相手プレイヤーが進出しているエリアが無く、序盤のラウンドでは販売競争がまったく発生しないことも考えられます。
このあたりが2人以下非推奨の原因だと思いますね。
私個人的にも、できれば5人、最低でも4人いないとこのゲームでは遊びたくはないと思っています。
結論として、逆に人数的な縛りがないのは「モバイルマーケット」ですね。
「モバイルマーケット」は1~4人の何人でも遊べる。
「スマートフォン株式会社」は4人以上いた方が良い。
戦略性
「戦略性」について言えば、どちらも戦略的な思考が必要なゲームではあります。
ただ強いて言うならば、「モバイルマーケット」の方がゲームの多様性があり、戦略的な深さを要求されると思いました
いくつか例を挙げますね。
①カードのコンボ
これはカードゲーム全般の特徴ではあるのですが、「モバイルマーケット」はカード効果によるコンボが魅力のひとつです。
例えばこの販売施策カードを見てください。
左のカードはこのラウンドに獲得した顧客が☆を要望していた場合、その顧客ごとに追加で1VPを稼ぐことができるカードです。
このカードを活かすためにはスマホに☆を沢山つけて販売することになります。
そこで右のカードのように☆毎に追加VPを得られるカードを獲得するとシナジーがあるわけですね。
さらにこんなカードも獲得できれば、☆を求めるお得意様を獲得しやすくなるので、これもシナジーです。
このようにカードの組み合わせ次第で多彩な戦略を生み出せるのが「モバイルマーケット」の魅力ですね。
「スマートフォン株式会社」はと言うと、技術獲得による能力が6種類ほどあるだけなので、能力のコンボ的なものは特にありません。
もちろん、販売エリアをどの優先度で広げるか、どの技術開発を先行させるか、などの戦略的視野は必要ですが、比較で言うなら「モバイルマーケット」の方に軍配があがると思います。
②ユニークカード
「モバイルマーケット」のカードはすべてユニークカードになっています。
今、場に並んでいるそのカードを取れなければ、このゲーム中では同じ能力は使えなくなるというシビアさがあります。
そのため、多少の利益を犠牲にしてでも先手番を取ってカード獲得しにいくのか、カードを諦めてでもしっかり利益を確保するのかの悩ましさが面白いところです。
「スマートフォン株式会社」でも、技術の先行開発による特許獲得で、VPを得られる仕組みがあり、早めに技術開発することに対するメリットはあるのですが、後発プレイヤーがその技術を獲得できなくなるわけではなく、むしろ技術獲得のコストが安くなるという利点もあります。
能力獲得について言えば、「スマートフォン株式会社」は「モバイルマーケット」に比べてややマイルドといった感じです。
盤面の流動性
「スマートフォン株式会社」はボードに顧客が印刷されているから当然なのですが、顧客のニーズは一定でゲーム中に変わることはありません。
1ラウンド目にWi-Fiを要望している顧客は、最終ラウンドまでずっとWi-Fiを要求します。
そのため、盤面的なニーズは読みやすく、将来のラウンドに渡っての計画を立てることが可能です。
対して「モバイルマーケット」は、ラウンド開始時に山から顧客が補充されるため、市場の顧客が求めるものが、すべてのラウンドで異なっています。
あるラウンドでは5Gスマホを求める顧客が多くても、別のラウンドではマルチカメラがブームになるかもしれません。
このように「モバイルマーケット」では、毎ラウンド変わる状況にうまく適応していく戦略的柔軟性が必要になります。
「モバイルマーケット」はゲーム展開に多様性がある。
「スマートフォン株式会社」は戦略的見通しが立てやすく、ややマイルド。
ダウンタイム
実はここがかなり致命的なのですが、「モバイルマーケット」はダウンタイムが発生しやすいゲーム構造になっています。
顧客にスマホを販売するフェイズになると、手番順に販売していくのですが、ここでプレイヤーが考えなければならないのは以下のような点です。
- 手持ちの技術カードから、どの機能を実装するか?
- その場合、何人の顧客に販売できるのか?(販売台数と市場シェアの見込み)
- 粗利はいくらになるのか?(獲得VPの見積もり)
1番手のプレイヤーはそこまで問題にはならないのですが、2番手以降のプレイヤーは、先手番のプレイヤーの選択によって、どの顧客が市場に残っているかが変わってきます。
つまり事前にアクションを計画することができないので、これがダウンタイムが発生する要因になっています。
その結果どうなるかと言うと、
でもこの機能もつければさらに2人にも販売できるぞ。
ただし製造コストが上がるから粗利が1減っちゃうな。
粗利そのままで4人に販売するのと、粗利を減らして6人に販売するのはどっちがVPを獲得できるんだっけ?
あ、販売施策カードの追加VPも計算に入れなきゃ。
えーと。。。
これを自分の手番が回って来てから全員がやるわけです。
そりゃダウンタイムもエグいですよね。
ここが「モバイルマーケット」を遊んでみて私が一番気になった点でした。
「スマートフォン株式会社」は、ラウンド毎にスマホに搭載する機能を選択するのではなく、獲得した技術によってスマホの性能は固定なので、そこで悩むことはまったくありません。
単純に、自分のスマホを販売できる顧客に最大効率で商品を配置していけばOK。
「モバイルマーケット」はダウンタイムが長くなりがち。
まとめ
ここまで比較してきた項目をまとめるとこのようになります。
比較項目 | モバイルマーケット | スマートフォン株式会社 |
---|---|---|
セットアップ | 大変 | 簡単 |
見た目 | 引き算 | 足し算 |
プレイ人数 | 広い(1~4人) | 狭い(4人以上) |
戦略性 | 多様性がある | 盤面は固定的 |
ダウンタイム | 長い | 短い |
これ以降は個人の求めるものによって、どちらのゲームが合っているかが変わるかと思います。
見た目・見栄えの良さを重視するならスマートフォン株式会社を選んでも良いでしょうし、
基本的には家族と少人数で遊びたいのであればモバイルマーケットを選ぶべきかもしれません。
そこはみなさんが何を優先したいかで変わってきます。
このレビューを参考に、ご自身にあったボドゲを選択してもらえれば幸いです。
最後まで読んで下さりありがとうございました!